札幌高等裁判所 昭和27年(う)378号 判決
しかし原判決挙示の各証拠と原審第一回公判調書(手続)の記載並びに同調書の末尾に添付されている証拠の標目及び証明すべき事実との関係と題する書面(検察官の証拠申請の内容を記載したもの)とを対照すれば原判決挙示の証拠のうち弁護人が原審に於て証拠調手続を行はなかつたと主張する四通の書面中一、大蔵事務官作成、領収証写(稚内信用組合中頸別支店の被告人宛)一通一、同官作成電信送金領収証写(被告人の稚内信用組合宛十万五千六百七十四円を領収した旨のもの)の二通だけは一見原審に於て証拠調手続を行わないものの如くであるが原判決挙示の各証拠の内容を仔細に検討すれば右二通の書面は検察官の請求により原審に於て適法に証拠調をした稚内税務署長作成の捜査願の中に参考として綴られてこれと一体をなしているものであることが認められる。しかして原判決は右捜査願を証拠としておるのであるからこれには其の内容である右二書面は当然包含されているものであるに拘わらず更にこれを別個の証拠の如く挙示したことは妥当とは言えないけれどもこれをもつて原判決が証拠調をしなかつた証拠を事実証明の用に供したものであるという弁護人の主張は当らない、論旨は理由がない。
(後略)
(註。本件の破棄理由は量刑不当)